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ひさごんの日記
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変形していってしまうんじゃなかろうか。

外反母趾なんて嫌だ。
靴になんか仕込めばマシになるかな。
立ち仕事で足が死にそう。

夏、だ。
いつのまに来てたんだ、君。
風が今日はないな。
蝉はまだかしら。

うだる。

この前、「マン・オン・ワイヤー」という映画を観に行った。
米映画のドキュメンタリー作品。
1974年、ワールドトレードセンタービル。
そのツインタワーの間に一人の男が浮かんでいた。
男の名は、フィリップ・プティ。
夢を信じ叶える為に、史上最も美しい犯罪を敢行した、綱渡り芸人である。

全編において、実際の映像と、映画用に作られた再現と、この「犯罪」に関わった者たちのインタビューからなる。
綱渡りのシーンは全て、実際の映像だ。

とても面白い映画だった。彼自身の魅力がキラキラしている。
あの時代、まさにあの時あのタイミングでなければ成し得なかった夢。
彼が産まれ、あのビルが建設されていなければ。

プティは1949年フランスで生まれ、16歳の頃に綱渡り芸を始める。
それまでにも、幼い頃からジャグリングを得意とし、様々な芸事に長けていた。
綱渡りを始めた翌年、ワールドトレードセンターは建設を開始。
高さ411m、地上110階という巨大なビル建設の新聞を見つけたプティは、すぐさま「このビルは自分の物だ!」と確信する。
それまでに仲間を集めたり、様々な苦節があるわけだけれど、その間の若かりしプティの姿は、中性的な香りがしてセクシーだし、無邪気な子供のようでもあり、野性的でもあり、とても魅力的なのだ。
いわばロックスターのような艶やかさがある。ミックジャガーに近い。
何より彼は綱渡りをする為に生まれてきたのだ、ということが映像からはヒシヒシと伝わる。
それを見つめる仲間たちは、さぞ楽しかったに違いない。

そうして、1974年。プティ24歳。
ツインタワーは完成し、彼は遂に夢を実現する。
ツインタワーの上まで上がるのには、それこそ犯罪の香りしかしないのだが、彼が綱渡りをし出すと、ファンタジーでしかなくなってくる。

ただ、この物語はそこで終わらない。
夢を実現した後の彼らの姿も描き出されている。
わたしにはそこがとても大事なところのように思えた。
彼らは大きな一つの夢を成し遂げると同時に、青春をなくした。
彼らの「その後」には、もう「それぞれの人生」しかなかったのだ。
そうして永い間、別の道を歩んでいた仲間たちが時を経て、このドキュメンタリー映画の為にインタビューに参加し、思い出を語る。

わたしはこの映画の後、また彼らが別の形ではありながらも集う姿があるのではないかと思った。
勿論、これはわたしの中のドラマでしか過ぎないかもしれないが、映画を観た後には、自身の青春についても思い浮かべさせられた。
今も続く青春がありながら、何処かに置いて来た青春もあるだろう。
とても青臭い言葉ではあるが、わたしはそういったものを正面から「輝く」という言葉で捉えたい。

また9.11テロでこのビルは破壊された。
この映画ではそのテロについては、全く触れていない。
プティによるテロは夢をもたらし、アルカイダによるテロは絶望を与えた。
二つの対極的テロにより、双方がより強い全く別の色をなして見えてくる。
この映画を観た後、9.11テロを思ったとき、わたしの中に今までにない程のさらに強い悲しみが生まれてきた。

さて、合間のインタビューに入るイントロが何かアメリカ臭さを感じたものの、とてもいい映画であったということは確かだ。

うだる暑さの中で、何も書く気がしなかったのにも関わらず、何か書く事を考えるとこんなに長くなる。
では。


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